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東京地方裁判所 昭和54年(特わ)2717号 判決 1980年1月28日

被告人

本籍

東京都目黒区下目黒三丁目六七八番地

住居

同都目黒区目黒本町三丁目一七番一一-九一一号

会社役員

石川純一

昭和一五年二月五日生

本店所在地

東京都渋谷区宇田川町二五番地三号

株式会社 ブラックシープ

(右代表者代表取締役 石川純一)

本店所在地

東京都品川区荏原一丁目九番九-二〇二号

株式会社 大悟

東京都大田区久が原五丁目一五番一号

ニユーハイム池上一三〇九号

右代表者代表取締役

石川孟

右石川純一に対する所得税法違反、法人税法違反、株式会社ブラツクシープ、株式会社大悟に対する各法人税法違反各被告事件につき、当裁判所は検察官八代宏出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人石川純一を懲役一年六月および罰金一、五〇〇万円に、

被告会社株式会社ブラツクシープを罰金三〇〇万円に、

被告会社株式会社大悟を罰金四〇〇万円に

それぞれ処する。

被告人石川純一において右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人石川純一に対し、この裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一  被告人石川純一は、東京都新宿区歌舞伎町一丁目二七番五号などにおいて、飲食業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、飲食業売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ

一  昭和五一年分の実際総所得金額が五一、〇二五、八六八円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同五二年二月二一日、東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所在の所轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が五、三五九、一五〇円でこれに対する所得税額は、源泉徴収税額を控除すると八、八八〇円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により同年分の正規の所得税額二三、六四六、七〇〇円(別紙(五)ほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額二三、六五五、五〇〇円を免れ

二  同五二年分の実際総所得金額が六九、〇八四、三六二円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同五三年三月一五日、前記淀橋税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が五、九四二、六九八円でこれに対する所得税額が二八一、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の正規の所得税額三五、二二二、一〇〇円(別紙(五)ほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額三四、九四〇、九〇〇円を免れ

第二  被告会社株式会社ブラツクシープは、東京都渋谷区宇田川町二五番地三号に本店を置き飲食業などを目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人石川純一は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人石川は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五〇年一〇月一日から同五一年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三〇、九九一、五六九円(別紙(三)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず 同年一一月二七日、同都渋谷区宇田川町一番三号所在の所轄渋谷税務署長に対し、その所得金額が六三五、五六〇円でこれに対する法人税額が一七七、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を郵送により提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一一、五五六、四〇〇円(別紙(六)ほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額一一、三七八、六〇〇円を免れ

第三  被告会社株式会社大悟は、東京都品川区荏原一丁目九番九-二〇二号に本店を置き飲食業などを目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人石川純一は、同会社の実質経営者として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人石川は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五一年四月一日から同五二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四三、五三一、二八二円(別紙(四)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同年五月三一日、同都品川区中延一丁目一番五号所在の所轄荏原税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五、九六二、四六〇円の欠損で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一六、五七二、四〇〇円(別紙(七)ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)(甲、乙番号は検察官証拠請求番号甲一、乙を示す)

判示第一、第二、第三の各事実全般にわたり

一、被告会社株式会社ブラツクシープの登記簿謄本(甲14)

一、被告会社株式会社大悟の登記簿謄本(甲19)

一、被告人石川純一の当公判廷における供述

一、同じく検察官に対する各供述調書(五通)(乙4ないし8)

一、樫村進の検察官に対する供述調書(甲24)

一、鈴木義郎の検察官に対する供述調書(甲25)

一、被告会社株式会社大悟代表取締役石川孟の当公判廷における供述

一、収税官吏藤野八男治作成の査察官調査書(甲1)

判示第一の一事実添付の別紙(一)修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額について

〔事業所得〕

(新宿ブラツクシープ)<1>

別紙(一)の(イ)修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額について

<売上>

一、検察事務官渡辺忠作成の捜査報告書(甲2)

<福利厚生費>

一、被告人の検察官に対する昭和五四年一〇月一三日付供述調書(乙6)

<給料賃金>

一、石川純一作成の上申書(甲3)

一、収税官吏藤野八男治作成の査察官調査書(甲4)

<楽団報酬>

一、石川純一作成の上申書(バンド演奏費)(乙3)

<雑費>

一、収税官吏藤野八男治作成の査察官調査書(甲4)

<青色申告控除額>

一、大蔵事務官六部峻作成の証明書(甲9)

(上野ブラツクシープ)<2>

別紙(一)の(ロ)修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額について

<売上・期首商品たな卸高・仕入金額・期末商品たな卸高・租税公課・荷造運賃・水道光熱費・旅費交通費・通信費・広告宣伝費・接待交際費・修繕費・消耗品費・減価償却費・福利厚生費・給料賃金・利子割引料・地代家賃・事務用品費・楽団報酬・雑費・雑収入>

一、検察事務官渡辺忠作成の捜査報告書(甲5)

(支払利息)<3>

一、収税官吏藤野八男治作成の支払利息調査書(甲8)

(給料)<4>

一、被告人の検察官に対する昭和五四年一〇月一八日付供述調書(乙8)

〔雑所得〕

<雑収入>

一、収税官吏小池哲男作成の査察官調査書(甲10)

<株式現物取引損益・株式信用取引損益>

一、検察事務官渡辺忠作成の株式売買捜査報告書(甲11)

一、収税官吏藤野八男治作成の株式売買回数、売買株数調査書(甲12)

〔利子所得〕

<利子収入>

一、検察事務官渡辺忠作成の利子所得捜査報告書(甲13)

判示第一の二事実添付の別紙(二)修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額について

〔事業所得〕

(新宿ブラツクシープ)<1>

別紙(二)の(イ)修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額について

<売上・福利厚生費・給料賃金・楽団報酬・雑費>

別紙(一)の(イ)修正損益計算書に掲げた証拠の標目と同じ

(目黒レツドハウス)<2>

別紙(二)の(ロ)修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額について

<売上>

一、検察事務官渡辺忠作成の捜査報告書(甲2)

<福利厚生費>

一、被告人の検察官に対する昭和五四年一〇月一三日付供述調書(乙6)

<給料賃金>

一、石川純一作成の上甲書(甲3)

(野郎壽司)<3>

別紙(二)の(ハ)修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額について

<福利厚生費>

一、被告人の検察官に対する昭和五四年一〇月一三日付供述調書(乙6)

<給料賃金>

一、石川純一作成の上申書(甲3)

(上野ブラツクシープ)<4>

別紙(二)の(ニ)修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額について

<売上・期首商品たな卸高・仕入金額・期末商品たな卸高・租税公課・水道光熱費・旅費交通費・通信費・広告宣伝費・修繕費・消耗品費・減価償却費・福利厚生費・給料賃金・利子割引料・地代家賃・雑損・事務用品費・楽団報酬・雑費・雑収入>

一、検察事務官渡辺忠作成の捜査報告書(甲5)

(渋谷ブラツクシープ)<5>

別紙(二)の(ホ)修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額について

<売上・仕入金額・水道光熱費・旅費交通費・通信費・広告宣伝費・接待交際費・修繕費・消耗品費・減価償却費・福利厚生費・給料賃金・地代家賃・事務用品費・雑費・権利金償却・雑収入・報酬>

一、検察事務官渡辺忠作成の捜査報告書(甲7)

(支払利息)<6>

一、収税官吏藤野八男治作成の支払利息調査書(甲8)

(給料)<7>

一、被告人の検察官に対する昭和五四年一〇月一八日付供述調書(乙8)

(青色申告控除額)<8>

一、大蔵事務官六部峻作成の証明書(甲9)

〔雑所得〕

<雑収入・株式現物取引損益・株式信用取引損益>

別紙(一)修正損益計算書に掲げた証拠の標目と同じ

〔利子所得〕

<利子収入>

一、検察事務官渡辺忠作成の利子所得捜査報告書(甲13)

別紙(一)、(二)修正損益計算書に掲げた公表金額及び過少申告の事実について

一、昭和五一年分所得税確定申告書一袋(昭和五四年押第二〇八九号符1)

一、昭和五一年分所得税青色申告決算書一袋(前同押号符2)

一、昭和五二年分所得税確定申告書一袋(前同押号符3)

一、昭和五二年分所得税青色申告決算書一袋(前同押号符4)

判示第二事実添付の別紙(三)修正損益計算書に掲げる科目別当期増減金額欄記載の数額について

〔株式会社ブラツクシープ〕

<売上高>

一、検察事務官山田彰三作成の捜査報告書(甲15)

<給料手当・福利厚生費・楽団報酬>

一、検察事務官山田彰三作成の捜査報告書(甲16)

<雑収入>

一、収税官吏藤野八男治作成の査察官調査書(甲17)

<支払利息割引料>

一、収税官吏藤野八男治作成の株式会社ブラツクシープの支払利息と題する報告書(甲18)

別紙(三)修正損益計算書に掲げた公表金額及び過少申告の事実について

一、昭和五一年九月期法人税確定申告書一袋(前同押号符5)

判示第三事実添付の別紙(四)修正損益計算書に掲げる科目別当期増減金額欄記載の数額について

〔株式会社大悟〕

<売上高>

一、収税官吏藤野八男治作成の売上除外調査書(甲20)

<給料手当・福利厚生費>

一、検察事務官山田彰三作成の捜査報告書(甲21)

<雑収入>

一、収税官吏藤野八男治作成の査察官調査書(甲22)

<支払利息>

一、収税官吏藤野八男治作成の株式会社大悟の支払利息と題する報告書(甲23)

<申告欠損金>

一、昭和五二年三月期法人税確定申告書一袋(前同押号符6)

別紙(四)修正損益計算書に掲げた公表金額及び過少申告の事実について

一、昭和五二年三月期法人税確定申告書一袋(前同押号符6)

(法令の適用)

被告人石川純一につき

判示第一の一および二の各所為は所得税法二三八条(所定刑中懲役刑と罰金刑を併科)。判示第二および第三の各所為は法人税法一五九条(所定刑中懲役刑と罰金刑を併科)。以上は刑法四五条前段、懲役刑につき四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の二の罪の刑に加重)、罰金刑につき四八条二項。

罰金を完納することができないときは刑法一八条により労役場留置。右懲役刑につき、情状により刑法二五条一項を適用し刑の執行を猶予する。

被告会社ブラツクシープにつき

判示第二の所為は法人税法一五九条、一六四条一項。

被告会社大悟につき

判示第三の所為は法人税法一五九条、一六四条一項。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松澤智)

別紙(一)

修正損益計算書

石川純一

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

No.

<省略>

別紙(一)の(イ)

修正損益計算書

新宿ブラックシープ

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

No.

<省略>

別紙(一)の(ロ)

修正損益計算書

上野ブラックシープ

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

No.

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

石川純一

自 昭和52年1月1日

至 昭和52年12月31日

No.

<省略>

別紙(二)の(イ)

修正損益計算書

新宿ブラックシープ

自 昭和52年1月1日

至 昭和52年12月31日

No.

<省略>

別紙(二)の(ロ)

修正損益計算書

目黒レッドハウス

自 昭和52年3月1日

至 昭和52年12月31日

No.

<省略>

別紙(二)の(ハ)

修正損益計算書

野郎寿司

自 昭和52年4月1日

至 昭和52年12月31日

No.

<省略>

別紙(二)の(ニ)

修正損益計算書

上野ブラックシープ

自 昭和52年1月1日

至 昭和52年12月31日

No.

<省略>

別紙(二)の(ホ)

修正損益計算書

渋谷ブラックシープ

自 昭和52年12月1日

至 昭和52年12月31日

No.

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

株式会社ブラックシープ

自 昭和50年10月1日

至 昭和51年9月30日

No.

<省略>

別紙(四)

修正損益計算書

株式会社 大悟

自 昭和51年4月1日

至 昭和52年3月31日

No.

<省略>

別紙(五) ほ脱税額計算書

石川純一

昭和51年度 昭和52年度

No.

<省略>

別紙(六)

ほ脱税額計算書

株式会社ブラックシープ

自 昭和50年10月1日

至 昭和51年9月30日 事業年度

<省略>

別紙(七)

ほ脱税額計算書

株式会社 大悟

自 昭和51年4月1日

至 昭和52年3月31日 事業年度

<省略>

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